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22年度は角田裕毅が最もベテランに?18インチタイヤは温度管理がシビア

18インチタイヤは2022年よりF1に導入予定だ。

当初は新レギュレーションと共に21年度に導入予定であったが、パンデミックの影響によりその年はレギュレーションの微変更に留まった。基本的には20年度のマシンをベースに各チームの開発が行われている。合わせて新規導入予定だった18インチタイヤも導入延期となった。

13インチタイヤから大幅な径行サイズの拡大となるこのタイヤについて、昨季F2で苦戦したアームストロングがその違いについて言及している。F1主任技師のパット・シモンズが導入前に行ったインタビューも合わせて読んでいく。

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F2では20年度に18インチタイヤは予定通りに導入された。この18インチタイヤを一番使いこなした選手が他ならなぬ角田裕毅である。アタックラップを入れた直後のクーリングサイクルや、スタート直後やレース終盤までのタイヤ温存、DRS圏内を最小限に利用したオーバーテイクなど、明らかにタイヤ管理を優先させたレース運びは画面越しからも確認できた。そしてその戦術はかなり有効に見えた。新レギュレーションとなり18インチタイヤが導入される22年度のF1、果たして彼を含めたこのタイヤの経験者には一日の長があると言ってもいいのか?

18インチタイヤの扱いはよりシビア?

20年度の総評でもお伝えしたように、マーカス・アームストロングは昨シーズンにおいてタイヤマネジメントに苦しんでいるように見えた。

先日行われたFORMULA SCOUTのインタビューにおいて、彼がこの点について言及している。アームストロング自身は13インチのピレリタイヤをF3で経験し、20年は18インチタイヤをF2にて経験した。やはりマシンのセットアップの問題よりもタイヤ管理に戸惑っていたようである。そのインタビューを抜粋する。

 

「18インチタイヤは明らかに最適化するの事が複雑なタイヤだよ」

「あくまで自分の意見だけど、正しい温度域に入れる事が13インチタイヤよりも極めて重要だと思う。先日のアブダビでのテストでも同じだった。パフォーマンスはそこから出てくるにも関わらず、正しい温度域に入れる事がさらに複雑なんだ。確実にね」

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「マシンバランスを弄った事で全体のグリップを得る事が頻繁にあるんだ。つまり昨季の多くのケースでは、良いマシンバランスを見つけたって何の意味もないのさ。グリップが得られていなかったらね」

「FPで順調にいく事が多かったんだけど、そこから予選のコンパウンドに変えるとすごく苦戦する事が多かった。単にタイヤの正しい作動域を見つけるだけでも、全てがうまくいく訳ではなかったんだね。自分たちにとっては」

 

「特にタイヤの負荷が大きいコースではロングランのペースは良くない事が多かった。バーレーンやムジェロでの予選は良かったでしょ。あれはあからさまだったね。レースではすごく簡単に1周目でポジションを落として、さらに他の車よりデグラデーションが酷いんだ。何らかの理由でさ」

「DRS圏内にいる為にすごくプッシュする必要があったんだ。でも雪だるま方式にその影響が溜まっていって、タイヤがすぐオーバーヒートしてダメになってしまう。近づかないといけないのにさ、悪循環に陥っちゃうんだよ」

 

「エンジンにも問題があったように思う。その点は残念だ」

オーストリアではいきなり速くて、シーズンの最初の方はうまくかみ合ってるように見えた」

「それからは時には少しイライラしたよ。いい感触で来てて予選に臨んで、良いラップを走れたと思ってもタイム自体は全然よくなかったり。予選で物凄くいい仕事をしたと自分では思っていても、リザルト上には全然現れないんだよ。でもミスがいくつかあった時は5位以内に入れたりさ」

 

このようにスイートスポットの温度域について理解が追いつかず、新タイヤは13インチの時よりも扱いが難しくアームストロングは感じている。タイヤに合わせるようなセットアップの重要性が増しているようにも読み取れる。

しかしバトル時のオーバーヒートなど、上記の問題点がオーバーテイクの減少に繋がっているとの観点はF1側も共有していたはずだ。18インチタイヤはどのように企図して設計されたものだったのだろう。シーズン開幕前のインタビュー記事から一部抜粋した。

 

18インチはどのようなタイヤになる?(パット・シモンズ)

「13インチタイヤの幅の広いサイドウォールによって、かなりのエネルギーが吸収されてしまう。しかし18インチタイヤはそれほどエネルギーを逃がす事はないだろう。なのでタイヤにかかる負荷は高くなるし、タイヤ自体もかなり違ったものになる。タイヤの許容限界は小さくなるからサスペンションの設計者は考え直す必要があるね。全員の仕事はかなり増えるよ」

 

「タイヤのコンパウンドについてはタイヤウォーマーが無くなる事が一番大きいかもしれない。今のF1ではタイヤが熱い時にだけ機能するようになっている。なので温度域がかなり狭いんだ。F2でも、もちろんタイヤウォーマーは使わない。なのでタイヤの作動温度域はかなり広くなる。」

 

「そこそこの低温とそここ低いタイヤ圧でスタートしなければならない。低いタイヤ圧、それと今のF1みたいに温度が上がると上昇するタイヤ圧にも耐えられる構造でなければならない。タイヤ圧が上がるとパフォーマンスがかなり落ちたり、オーバーヒートしたりする事は求めていない」

 

ドライバーは違いを感じる?

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「そんなに変わらないと思う。タイヤへの入力に少し反応が良くなって、もっと繊細な操作ができると期待する人もいる。路面追従性の点ではタイヤそのものは固くなってサスペンションの可動域が少し広がると思うが、基本的な操作感覚は何も変わらないだろう」

「もういちど言うがタイヤウォーマーが無くなる事がいt(中略)インディで同じ環境を経験したフェルナンド・アロンソは肯定的なn(中略)古いタイヤとニュータイヤだけど冷たいタイヤの戦いが増えて面白くなると思う。」

F2から昇格したドライバーはアドバンテージを有する事になるか?

「そう思う。F1の選手は冷たいタイヤに慣れるまで少し時間がかかるだろう。なのでルーキー達に利点はあるかもしれない。そうなれば観てて面白いだろう」

 

低温での温度管理における重要性が開幕前から指摘されていたように、昨季のF2でその傾向は顕著だった。スパでの松下信治や最終戦におけるミック・シューマッハの失策がそれを如実に物語っている。

しかしながらF1側が意図したようにタイヤの作動温度域が機能しているかどうかには疑問が残る。もしアームストロングが指摘した点が22年度の導入までに解決できなければ、長年F2を経験したベテランのアルテム・マルケロフや松下が昨季苦労したように、何人かのF1ドライバーも苦戦する可能性は否定できない。

セットアップ手順も大幅に変化する事となりF1チームのエンジニア達もテストのみで経験不足を補う事は難しい。それらの点において角田裕毅を始めとする昨季と来季のF2昇格組は、セットアップの方法からタイヤの活用法までのレース経験を有している。特に角田のタイヤ管理方法は現時点における最適解であり、この変化における先駆者となれる可能性がある。

無論タイヤ開発が今後一層進み別物となる可能性が高いものの、F2での経験が大きな財産となる事は間違いなさそうだ。