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2020年 F2開幕前を振り返る(10) Trident

 FORMULA SCOUT の2020年プレビュー記事を読みつつ、今季のF2を今振り返るシリーズ10回目。

今回は Trident 編。FIA F2の幕開け以降、万年最下位の地位をほしいままにしているこのチーム。今シーズンは日本人ドライバーの佐藤万璃音が所属した。

その他チーム

formulascout.com

Trident(トライデント)

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沿革

F2とF3の両方を見るのであれば、トライデント言われて思い浮かぶのはF3マシンの方ではないだろうか。まだFIA F3がGP3だった2012年から参戦し、名称が変わった今季も参戦を続けている。GP3では2015年あたりから安定した成績を残すようになり、ARTに次ぐ2番手~3番手のチームに躍進した。FIA F3となってからもその立ち位置は変わらず、2020年は強豪ARTをついに上回り、プレマに次ぐチームランキング2位を達成した。チーム名もロゴも「三又槍」であり、3台を走らせるF3にチームカラーがマッチしている。

F3の事にばかり言及するのは、F2での目立った実績が無いからだ。GP2に参戦する為に2006年にイタリアで立ち上げられたこのチームだが、F2はさておき、GP3/F3の有力チームへと変貌を遂げたのである。

その一方でGP2は、2014年のチームランキング6位を最後に下降線をたどり続ける。FIA F2にシリーズ名称が変わってからは毎年最下位を独走。22台にエントリーが増えた2020年のポイントは、僅か5ポイントのみとなった。

 

2020年は19年にF2にスポット参戦をした佐藤万璃音が加入。少しだけ日本での知名度も上がったかもしれないトライデント(そんなことない)。所属した日本人ドライバーは2人目で、現在SuperGTで活躍している平手晃平が2007年にこのチームでGP2を舞台に走った。日本に所縁のあるドライバーではLMP1トヨタ7号車のマイク・コンウェイが所属していた。

2020年シーズンの展望と結果

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「F2における近年のトライデントを形容すると恐ろしく酷いとしか言いようがない。3年間にわたってチームランキングは最下位である。リタイア率は他よりも群を抜いて高く、好ましいものではない。シーズン終盤に競争力が遥かに改善された時でも、"2017年に名称がF2となって以降表彰台を獲得していない唯一のチーム"の称号を返上するまでには至らなかった」

 

なんの成果も!!得られませんでしたぁぁ!!

今季通算5ポイント。むしろ昨季よりもひどい。サマイア号よりはマシだった。毎年リタイアの多い当チームだが、今季は辛うじてリタイア回数2桁は回避している。この成績でも加入するドライバーが毎年出現するので、よっぽど参戦コストが安いのかもしれない。チーム状態はもはやFormula2.65くらいの状況にあり、選手育成に貢献しているとも言い難い。ルカ・ギオットが当チームからトップチームへと移籍を果たしたくらいだ。今季はアレジがトライデントからの脱出に成功したが、資金難が伝えられており来季の参戦状況は不確かである。

ドライバーラインナップ

No.22 ロイ・ニッサニー

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イスラエル 25歳 -> 26歳

2019 no result

-> 2020 FIA F2 19th

「2018年にニッサニーはポイントに恵まれなかった。同じくフォーミュラ・ルノーに参戦し結果を残せなかったギオットの腕前と比較すると少しばかりアンフェアに映る。昨年はレースに参加しなかったが、ウィリアムズのテストドライバーのポジションを2020年に獲得。最初のポイントを稼ぐ事が目標となるが、本物のF1シートを獲得するためにはたくさんの進歩が彼には必要である」

 

ヨーロッパF3を経てフォーミュラ・ルノー 3.5に登ったニッサニーは、2018年にカンポスからF2出場にこぎつけるが1ポイントのみしか獲得できなかった。ウィリアムズのテストドライバーとして帰還を果たした今季、トライデントで2018年の記録は塗り替えたものの獲得ポイント数は僅か4ポイントに終わった。

ウィリアムズからのF1テストドライブの機会を活かしてシーズン半ばには生まれ変わったような走りを見せる事もしばしばあり、最終順位の割にサイドポッドの国名を目にする機会は多かった。このようにポイント圏内を走行する事も度々ありはしたものの、終盤での接触や後退により2回のポイント獲得のみでシーズンを終えている。この車で2回もフィーチャーレースのポイントを獲得できた事をむしろ褒めるべきなのかもしれない。

 

No.23 佐藤万璃音

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日本 21歳 -> 21歳

2019 Eurofomula Open 1st

-> 2020 FIA F2 22nd

カンポスよりF2に参戦した昨季、佐藤はエイトキンのペースについて行けずに苦戦、彼のキャリアに影響を与えるような印象を残す事ができなかった。しかし彼に欠けてたものはピレリタイヤでの走行距離と経験であり、ダラーラF3とミシュランタイヤを使用するEuroformulaでの経験は豊富だ。16レースに参加し9勝を果たし、ヨーロッパF3の複雑なハンコックタイヤに手こずった後に井上隆智穂の庇護下の彼はミシュランのラバーについてその見識を得た。後方に沈む事を避けるには18インチのF2新タイヤの理解に、ことさら真剣に取り組む必要がある」

 

2015年にイタリアF4にてシングルシーターのキャリアをスタートさせた佐藤はその後ヨーロッパF3にモトパークから参戦。2年間の活動で主だった結果を残せず2019年のシリーズ消滅に伴いEuroformula Openにスイッチする。そこで才能を開花させタイトルを獲得。2020年よりFIA F2に参戦した。日本人ドライバーでF2まで参戦する選手としては珍しく自動車メーカーのスポンサードを受けておらず、マネジメントは井上隆智穂が担当している。井上は過去には佐藤公哉をはじめとする日本人ドライバーや多国籍のドライバーのヨーロッパ活動を支えている。

トライデントではF1昇格を果たす事は難しく、よって2年目を見据えての参戦と思われる今シーズン。数字としては1ポイントのみの獲得でシーズンは終わったが、今季の目論見は多少の想像を超えてアルファタウリのF1テスト参加へと繋がった。レッドブルの最近の動向から日本人ドライバーの発掘に乗り出しているようにも推測でき、佐藤万璃音もその中の一人である事は間違いなさそうだ。テスト結果次第ではレッドブルジュニア入りも可能性としては残されるが、結果的にそうならなかったとしても今回の経験が佐藤のキャリアにポジティブな影響を与えた事に相違ない。来季のF2トップチームのシートはハイテックの1席を残しほぼ埋まってしまっているものの、今がキャリアのターニングポイントである。今後の佐藤の動向には注目が集まる。

 

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