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2020年 F2開幕前を振り返る(8) HWA Racelab

 FORMULA SCOUT の2020年プレビュー記事を読みつつ、今季のF2を今振り返るシリーズ8回目。

今回は HWA Racelab 編。長年参戦してきたArdenからエントリー枠を引き継ぎ新規参戦。メルセデス系チームの総本山である。

その他チーム

formulascout.com

HWA Racelab

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沿革

長年参画してきたDTMを撤退し、Formula Eでメルセデス AMGの参戦をお膳立てしたもののチームに名前が残らなかったHWA。そして彼らが次に求めた居場所はシングルシーターの育成カテゴリーであった。19年にGP3からFIA F3となったシリーズに参戦。無敵のプレマがF3を支配する中で、ルーキーイヤーとしてまずまずの成績を収める事に成功した。その流れの下で2020年からF2に加入した。前年に提携したアーデンのエントリーを引き継ぐ形での参戦であり、一気にHWAが育成カテゴリーでの主役級に躍り出る期待を孕んだ参入劇である。

 

しかしながら昨今では育成カテゴリーにジュニアチームを持つ方式は流行から外れている。フェラーリとプレマの関係に象徴されるように、育成選手を融通の利く有力チームに送り込む方式が一般的である。ArdenがHWAにエントリー枠を譲った事からもその傾向が窺える。Arden Internationalはレッドブル代表のクリスチャン・ホーナーが現役時代創設し、レッドブルの支援を受けつつF3000の時代からこのセカンドティアでのエントリーを頑なに守りってきたチームだからだ。メーカー系とも言えるチームがそのエントリーを引き継いでの参戦となった今回のF2におけるHWA Racelabの誕生。F1撤退を望んでいるとも伝えられるメルセデスは、今後のジュニアカテゴリーにどのような将来を見据えるのだろうか。

2020年の展望と結果

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「同チームのFIA F3参入初年度での昨季の成績を考えれば、HWAフルコントロール下となったF2での初めてのシーズンとなる今季は熱い展望を予感させる。この元DTMチームを長期的な視野で見れば成功を収める事だろう。しかしながら2020年にそれを実現するのか、今年は経験の年であると日記に書き飛ばすつもりなのかどうかは蓋を開けてみなければ分からない」

 

HWAの規模や実績からF2におけるミッションもそれほど難しいものではないと思われる。ただそもそもメルセデスがF2に乗せたいジュニアドライバーは今のところ存在しない事は明らかだ。"Formula Eを始めとするスポーツレース等の各種分野への幅広い見識を得ての参戦"という宣伝文句はあるものの、F1を目指すメルセデス育成の有望ドライバーでも出現しない限りは、今季の様子からはその見識をF2で駆使する日は先の事に思える。

No.16 アルテム・マルケロフ

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ロシア 25歳 -> 26歳

2019 FIA F2 16th, SF 21st

-> 2020 FIA F2 

「ひどい1年目のシーズンとなったスーパーフォーミュラの後、マルケロフは再びF2で6年目のシーズンを過ごすことにした。このチームとのパートナーシップはアーデンの名の下に最後の2ラウンドを戦った昨季から始まっている。その2ラウンドでの16位と14位の予選結果は、常に1周の速さが彼のアキレス健である事を示唆する。一方では巧みなレース戦略と素晴らしいタイヤマネジメントにより、その弱点を埋め合わせる以上の活躍をする事もしばしば。そして彼はどちらかと言うとシーズンで目立った活躍を残すものの、コンスタントで堅実な結果を残すタイプではない。それらを考慮すると、マルケロフは急いで新タイヤを理解する事に努めなければならない。しかしプレシーズンの結果を見る限りでは”言うは易く行うは難し”となりそうだ」

 

ロシアンタイムが消滅し、GP2時代から長らく独占したポジションを失った昨季はスーパーフォーミュラに参戦。5戦に出場しノーポイントとなった後、SFを欠場しF2に復帰。その流れのまま今季も参戦が決定する。しかしプレシーズンの流れをそのまま引きずった今シーズンはわずか5ポイントの獲得と自身最悪の結果に終わった。昨季3ラウンドのみの出場で稼いだポイントにも遠く及んでいない。主だったキャリアを残せていない2年目のチームメイトとの比較ではやや優勢ではあるものの、同カテゴリー6年目の彼にとってそれは何かを意味するものでもないだろう。見せ場を作る事はついにできず、しかし最終戦までは走り切った。

No.17 ジュリアーノ・アレジ

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2020 FIA F2 15th

-> 2020 FIA F2 17th

フランス 20歳 -> 21歳

「ついにトライデントとの4年間の関係に終止符を打ち、HWAに加入したジュリアーノ・アレジ。彼を4回のGP3ウィナーと書き殴る事は簡単だ。しかしアレジはフランスF4で1年間を過ごした後、GP3ではシーズンを重ねるごとに進歩を刻んできたのだ。競争力が増したF2のマシンと確かな能力を発揮するチームメイトとであれば、またGP3と同じ事ができないと言う理由は見当たらない。10位以内でのチェッカーは難しくなるかもしれないが、GP3のように魔法のようなリバースグリッドからのレースを再現する事は彼に何ら害を成すものではない」 

 

 昨季のマシンの性能を考えれば、19年最後の3ラウンドは随分と健闘した。同じ下位チーム間での移籍となったが、万年最下位のトライデントからの脱出。HWAがポジティブな意味での未知数だった事もあり、更なる飛躍を期待したシーズンだった。しかしマルケロフにも言える事ではあるが、画面越しで彼の姿をレース中に見かける事はほぼ無くなってしまう。そのうえ成績上はマルケロフと互角以下のシーズンであったと言えるだろう。その傾向はHWAよりも競争力が高いと思われるMPに移籍してからも続いた。

終戦となったバーレーンのスプリントレースでこそ今季一番のレースを見せたが、それも手遅れだったかもしれない。というのも今季途中でフェラーリ育成契約を解除されているからだ。

もはやF1への夢は今季の低迷と共に潰えたかのように思える。皮肉なことに、ジュリアーノのF2参戦費用を補填する為に、父親のジャン・アレジが愛車のF40を売却したストーリーの方が彼本人よりも有名となってしまった。

 

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