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2020年 F2開幕前を振り返る(4) Carlin

FORMULA SCOUT の2020年プレビュー記事を読みながら今年を振り返る4弾目。

今回は Carlin 編。今季はレッドブルジュニアチームの一翼を担った。角田裕毅が所属した。

その他チーム

formulascout.com

Carlin(カーリン)

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沿革

カーリンはヨーロッパのジュニアモータースポーツ界の巨人である。育成に分類されるカテゴリーに頻繁に出没し、特にイギリスF3においての常勝チームだ。過去には佐藤琢磨もこのチームに所属し、イギリスF3とマカオGPでの優勝を遂げている。

2010年からはマックス・チルトン父の多額の投資により生まれ変わり、チルトン家との繋がりが強化された。チルトンのF1参戦やインディ参戦をサポートし、2018年からはインディカーシリーズにもチームを立ち上げて参入。念願のトップカテゴリーの土俵に立った(なお成績)。過去にはF1への新規加入も計画したが、その度にFIAに申請を却下されている。

 

2019年には初年度のFIA F3チームの一員となっている。また同年は日本企業のBuzz Asset Managementとタッグを組み名取鉄平を擁して出走した。Buzz~社はREBELLION JAPAN(本家レべリオンはモータースポーツ活動より撤退している)等のブランドで、日本でのモータースポーツ活動が活発である長谷川大祐氏の率いる企業である。同社は同じくカーリンよりF2に再参戦した松下信治のスポンサードも行った。カーリンは全日本F3にも OIRC team YTB とコラボして参戦する等、2019年は日本のモータースポーツと関係する事が多い年となった。

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FIA-F3でのカーリンのマシン

F1のみならずインディカー等幅広いモータースポーツに多くのドライバーを輩出しており、F2相当のカテゴリーでは2011年にマックス・チルトンをサポートする形でGP2に初めてエントリーした。それ以来、F2初年度の2017年を除き毎年このセカンド-ティアに参戦している。近年では2018年にチームタイトルを獲得。同年所属したランド・ノリスがF1への昇格を果たしている。

2020年の展望と結果

「2019年、前年のチーム優勝に匹敵するパフォーマンスを追い求める事に常に苦労したカーリンにとっては、2つのフィーチャーレースの勝利とチームランキング4位の結果は苦い失望の結果とまではいかないだろう。2020年は2名のFIA F3の卒業生にドライバーラインナップを一新する。両名とも他のルーキー達と比べると広く知られていない存在だが、プレシーズンでの力強いパフォーマンスは今シーズンのダークホースになり得る可能性を示唆している」

 

今季、角田のサクセスストーリーを影で支えたのは間違いなくカーリンのマシンである。初戦のFP1で最速だったようにセットアップが週末の最初から既に決まっている場面がシーズン中に多々見受けられ、このアドバンテージが角田の4回のポールポジション獲得を後押ししたのは間違いない。ダルバラに関して言えば残念とも言える結果に終わるが、問題が解決された後はダルバラ車もトップクラスの活躍を見せた。他車と比べてタイヤが消耗する場面をほぼ目にしなかったように、新タイヤへの順応が適切に進んだ事が伺える。タイヤマネジメントで際立つ角田との相乗効果でシーズン終盤にはこの傾向がより顕著になった。仮にダルバラ車がトラブルフリーであれば今季のベストチームのポジションを争えたであろう。

ドライバーラインナップ

No.7 角田裕毅

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日本 20歳 -> 20歳

2019 Euroformula 4th, IA F3 9th, Macau GP 11th

2020 Toyota Racing Seriese 4th, -> FIA F2 3rd

「日本でF4タイトルを獲得してから大陸間を移動し、ヨーロッパに来てほんの2年目で、レッドブルの高速カタパルトは角田をF2に着弾させた。2019年のFIA F3、弱小チームのイェンツァーで見せたスパとモンツァの週末は非の打ちどころがなく、彼が極めて特別なドライバーである事を主張している。そんな彼に用意された習得曲線は今回も急峻なカーブを描き、上階へ昇る梯子の間隔は広い。だが彼は昨年も同じ状況でEurofomula と TRSにおいても勝利を達成した」

 

昨年のイェンツァーでの衝撃的な勝利により一定の評価は獲得していた角田ではあるが、シーズン開幕前は故郷の日本においても注目度はさほど高くなかった。しかしながらまさにダークホースの表現に違わぬ活躍を見せる事となる。第2ラウンドのレッドブルリングでポールポジションを奪取。フィーチャーレースこそトラブルにより2位となったものの、その名を一躍タイトル候補にまで押し上げる走りは周囲に衝撃を与えた。その後マシントラブルや自身のミスにより下位に沈む事も少なくなかったが、終わってみればフィーチャーレースでのポイント獲得数1位、4ポールポジションに3勝と選手権3位を奪ってみせた。特に最終ラウンドにおいて、ライバル達とのレベルの違いを見せつけた勝利は識者を唸らせた。そして2020年のアントワーヌ・ユベール賞を獲得するに至る。選手権においては3位であるが、同ユベール賞と合わせFIAのベストルーキーにも選出された事で、彼の今季のパフォーマンスを名実共に証明する事となった。

 

今季の角田の活躍はF1へと昇格するに十分なものであり、どこからも異論が出る事はない。来年の注目点はF1同期となるミック・シューマッハニキータ・マゼピンとの比較があるが、むしろ現役F1ドライバーのガスリーやノリスと比較する声も多い。21年のトップチームのシート候補に挙げられるなど、日本以外での期待値も高い。指数関数的に成長した日本人ドライバーへの期待は留まる事を知らず膨らみ続ける。

 

No.8 ユアン・ダルバラ

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インド 21歳 -> 22歳

2019 FIA F3 3位

-> 2020 FIA F2 12位

「2019年、ダルバラはカーレースにおけるブレイクスルーを簡単に楽しんだ。初年となったFIA F3でシーズン3位を獲得したのだ。シーズン前はチームメイトのシュワルツマンとアームストロングにスポットライトが集まる一方、ダルバラは最初の3レースのうち2レースで勝利して見せた。そして最終戦までアームストロングを抑えシーズン2位に位置していたのである。今年は前年所属したF3のプレマのようなマシンパフォーマンスのアドバンテージは無くなるものの、プレシーズンテストで見せた衝撃的なペースを考慮するとマシンアドバンテージを今季もまだ有する事になるだろう」

 

前年に躍進したダルバラであったが、元プレマのチームメイト間の序列は今季シーズン前においても変わらなかった。彼が大きく期待されていたとは言い難いだろう。だがレッドブルに見出されてジュニアチームに加入。角田とアルファタウリのシートを争う事となった。

 

そんなダルバラはシーズンを通して低迷し、終盤には光る走りを見せたものの、幕はそのまま降りてしまった。だがこの低迷には明確な原因があったらしく、ダルバラはシーズンのほとんどを欠陥エンジンで過ごしていたようだ。確かに主張する時期と成績の急上昇はリンクしており、今季のパフォーマンスは彼の真の実力を示すものではないだろう。不運に見舞われながらも終盤には奮戦し、最後の最後に勝利したレースは来年に繋がるものだった。シーズン後のテストにおいてもこの好調は維持されており、早くも来季のタイトル候補に名乗りを上げている。

 

今季の結果が示すようにダルバラとカーリンの相性は良好である。同じく好調だったプレマとヴィロトーシの席が既に埋まっている事を考えると、カーリン及びレッドブルとの再契約が目下の目標だろう。来季も椅子取りゲームが再び白熱する事は間違いなさそうだ。

 

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